《MUMEI》

「紗枝結構酒強え〜なあ」
「そんな事ないよ〜、だってもうフラフラ〜、一人で帰る自信ないし〜」
アタシはそう言いながら裕斗の肩に頭を乗せる。
「それは心配すんなよ、ちゃんと送ってくし」


−−よし!







タクシーでアタシのマンションに向かう中、アタシは眠い振りをして裕斗に寄りかかっていた。

剥きだしの裕斗の腕に、柔らかいアタシの胸を押し付けながら。




裕斗は会計を済ませるとアタシを揺り動かした。
「…う〜ん、眠いよ〜」
「仕方ねーなあ、おんぶしてやっからとりあえず降りな?」
「は〜い」

アタシはわざとモタモタしながらタクシーから降り、タクシーが去って行くと


「ほら!」

アタシに背中を向けてしゃがみ込む裕斗。


「……」

なんか…


襟足…色っぽい…


「ほら!」

「あ、はい!」


そっと抱き着くと


「よいしょ…っと」
アタシを軽々持ち上げ、エントランスを進み出す。



ぁあ…良い匂い。


逞しくないけど落ちつく背中…。





裕斗はそっとベッドに座った。

「手離して良いよ?」

「…やだ、あったかいから離れたくない〜っ!」
「もう酒癖悪りいなあ〜!わかったからとりあえず離れなさい」

「は〜い」

するりと腕を解くと裕斗はアタシの方に顔を向けた。


「紗枝…俺さ…」

「はい…」







真剣な表情の裕斗……



ふふっ





私に…






堕ちた…

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