《MUMEI》

「当たり前だろ?」





日向は、

ニッコリ笑った。





「大事に使うからな、これ」





早速、

そこに鍵を入れた。





「何で鍵なの?」

「ぇ、なくさないように──」





さも当たり前みたいに日向が言ったから、

あたしは思わずおかしくなった。





「日向はなくし物しないじゃない」

「せっかく那加が作ってくれたんだし──何か入れてみたくなってさ」

「ふぅん‥」





鍵じゃなくても、

入れる物なら他にも色々ありそうなのに。





そんな事を思いながら、

あたしは日向の横顔を見つめてた。

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