《MUMEI》

「先輩、帰りましょ」

講習が終わるまで玄関で安西が待ち伏せてた。
昨日の病院で会ったことを安西は知りたいのだろうか。


「今日は……」

何か断る理由を探すが言葉に詰まる。


「貧血で倒れるようなヒドイことがあったんでしょ」


「ヒドイこと」

安西の言葉を抜き取ると胸を焼く痛みが沸いた。


「おい、木下!」


「先生と用事あったんだ。だから安西、今日はごめん。」

気付けば俺は安西から逃げるような態度を取ってしまっていた。

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