《MUMEI》

「そ‥‥‥そんなんじゃないってば。‥ただ、誕生日だから‥何かあげなきゃって思ってるだけ‥」

「日向君ももうすぐ那加ちゃんに追いつくわね──」





佳代子さんは、

何でかニコニコしてる。





「ふふっ、懐かしいわね──」

「佳代子さんまだ20代でしょ? そんなに昔でもないじゃない」

「でも、意外とあっと言う間なのよね──青春って」

「‥佳代子さんはその頃‥好きな人、いたの?」

「いたいた。2年下の後輩でね? みんなの人気者だった男子だったんだけど──」

「けど‥?」

「引っ越して行っちゃったのよね、ある日突然」

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