《MUMEI》
拓磨、二度目の空回り
一月二日


(夏休みを思い出すな…)


初詣の待ち合わせにいた拓磨は、気合いの入った袴姿だった。


去年は振袖だった俺は、今年は普通に洋服で


志貴も、オシャレではあるが、動きやすい服装をしていた。


…初詣は、人が多い。


…拓磨は守と違って着物では素早く動けないし


守と違って


一人で、崩れた着物を直せない。


その結果


「情けない格好ね」

「…すみません」

「…」


お参りを終える頃には、拓磨の着物はぐしゃぐしゃだった。


更に


拓磨は、おみくじで滅多に出ない凶を引き当てた。


ちなみに俺は中吉で


志貴は、大吉だった。


拓磨は志貴が大吉だった事に喜びながらも、自分の結果には不満だったらしく


より高い枝に結ぼうとして





「うわっ」

「キャッ」

「あ…」


志貴を巻き込んで、転んだ。


志貴の着ていたお気に入りのコートは


…白、だった。


「すみませんすみませんすみませんすみません!」

「…もういいから、これ以上私や祐也を巻き込まないでね」


お経のように謝罪を続ける拓磨に、志貴は呆れていた。

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