《MUMEI》

「バッ‥2回も言うんじゃねェッ」

真っ赤な顔。

どうしても

この表情が愛しく見えて仕方が無い。

けれど

わざと皮肉めいた事を言ってしまう。

「相変わらずだな、君は──」

「てめーもだろーが」

間髪入れず‥

突っ込まれた。

「つーかてめー、マジでどこ行ってたんだよっ」

「その‥‥‥、宮上と話をしていたんだ」

「宮上‥?」

「ぁぁ‥」

「ふーん‥」

珠季はそれとなく言って

僕の胸倉から手を離した。

「‥あんまり独りでフラフラすんじゃねーぞ」

「分かってるさ」

僕は

思わず笑いそうになっていた。

珠季──

君は本当に心配性だな──。

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