《MUMEI》

「───────」

「何を書いているんだい?」

「!!」

珠季は咄嗟に

ノートを閉じてしまった。

恐るべき反射神経だな‥。

「バッ‥見んじゃねーッ」

「まだ見てはいないよ。僕が見るより先に、君がノートを閉じてしまったからね──」

「‥ほんっとーに見てねーんだな‥?」

「疑っているのかい?」

「‥違ぇけど」

珠季は

しっかりとノートを閉じたまま──

ほんの少し頬を赤らめた。

「‥アイツから聞いたのか」

「?」

「宮上から‥」

「──ぁぁ‥」

「──‥お喋りヤローなんだから‥」

「彼も詳しい事は知らないようだけどね──」

「ったりめーだ、教えてねーんだから」

「それじゃ、楽しみにしてるよ」

「何をだよ」

「君の話が出来上がるのをさ」

「なッ‥見せる訳ねーだろっ!?」

「なら──何の為に書いているんだい‥?」

「っ‥ただの暇つぶしだよ」

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