《MUMEI》

銃声が鼓膜を震わせ火薬の臭いが鼻につく。
俺の両親は俺が三つのときに無くなったらしい。
俺は、風邪をひいて乳母と留守番している間に両親は火災に遭って死んだ。

両親の莫大な遺産を引き継いだが俺が5歳の誕生日を迎える頃には俺の家は親族達よりに破産寸前だった。


俺は、眠れない日々が続いて、乳母の部屋にいつものように行こうとした時、聞いてしまった。
僅かに開いた扉から叔父達が剣幕な表情で話し合いをしていた。



『……自殺に見せかけて……』


『事故がいい』


『そう、出掛けよう』


『車に細工を』


[ジサツ]をしたら、天国へ行けないのだと母様が言っていた。叔父達はいけないことをしようとしている、俺は頭の中で何度も夢だったと言い聞かせて布団に潜り込んだ。

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