《MUMEI》
珠季は

弁当の御菜を眺めて

ある１つに目を留めた。

「‥お前またちくわの天ぷら作ったのな‥」

「少し手慣れてきたからね。竹輪は勝手がいいし──」

「‥何か前食った時さ、軽くケンカになったよな」

「き‥君が微妙と何度も言うから──」

「だってマジで微妙だったんだからしょーがねーじゃん」

「言ってくれるな‥」

「マズかった訳じゃねーけどな」

「そうか──」

何はともあれ

自分の作った物を食べてもらえるのは嬉しいものだな──。

「‥今度はアタシが何か作って来てやるよ」

「君が？」

「‥何だよその意外そうな反応‥」

「ぃゃ、そういうつもりは微塵も‥」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「──楽しみにしてるよ」

「期待しないで待ってな」

「フ‥、ぁぁ──そうする事にするよ」

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