《MUMEI》 「現実‥に?」 「何か──そんな気がするんだよな」 「‥‥‥ほんとに?」 「ほんとに」 ニコッとして、 日向はあたしの手を取った。 「ちょっ‥何するのよ」 「絶対治るから」 「ぇ‥」 「食べたい物食べられるようになるし、行きたい所に行けるようになるから」 「‥‥‥‥‥‥‥」 「俺も、那加の両親も、佳代子さんも──戸田先生だって、みんな那加に元気になってもらいたいって思ってるんだぞ?」 「──分かってるもん」 ──分かってる。 だから絶対、 ここ退院してやるんだから。 前へ |次へ |
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