《MUMEI》

「なら、取り返してごらん──出来るものならね」

「ッ‥」

怒り笑いを浮かべる珠季。

「上等じゃねーか」

既に

やる気は満々らしい。

「速攻で取り返してやらぁ。覚悟しな‥?」

「臨む所だ」

僕が

言い終わるや否や。

珠季が──

素早く

僕の背後に回り込んだ。

けれど

スピードなら僕も負けてはいない。

教室から飛び出して

階段の方に向かう。

──屋上に行く為だ。

廊下を走るのは

校則違反だけれど──

今だけは

破らせて貰おう。

何せ

久し振りの勝負なんだから──。

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