《MUMEI》
引き継ぎ
翌日、俺は頼と一緒に登校した。


(平和な朝で良かった)


果穂さんが頼が昨夜俺の部屋に泊まる事を、高山一族に伝えてくれてあったから、早朝訪問は無かったし、尋問もされなかった。


三学期初日の今日は、始業式とLHRだけだった。


担任の話題の中心は、来月行われる生徒会役員選挙についてだったが


俺には関係無い話だった。


何故なら俺は


既に、演劇部の新部長に指名され


引退する先輩にかわり、今日から皆をまとめなければならなかったのだ。


(俺、二年から入ったのにな)


一年から頑張ってきたメンバーをさしおいて自分が部長になるのは嫌だと断りたかったが…


現部長と


裏方大好きで、最初から演劇部に入部していた新副部長の


同じように、静かで笑顔だが、どこか怖い


有無も言わせぬ態度と


他の部員達の多数決により


俺は、半分無理矢理部長に任命されたのだった。


「本当にもう引退するんですか?」


既に短大に進学が決まっている部長から、引き継ぎを終えた俺は、最終確認をした。


「たまには来るわよ」


部長は最後まで花のような微笑みを浮かべていた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫