《MUMEI》

『ねぇ?ケイン、あ
れは何?』

さっきから〜ずっと
この調子だ。

ケインは流石にジェ
ルマの質問責めにウ
ンザリしていた。


そんなケインの様子
など目に入らないジ
ェルマは…おっきく
見開いたキラキラの
瞳で露店の間をフワ
フワと蝶々の様に飛
び回る。


『おいっあんまりウ
ロチョロするなよ!』
ケインは小声で囁く。


『うん♪』
楽しげにジェルマは
頷いたが〜また気に
なる物を見付けたの
か、足早に先の露店
に移動した。


…たく、散歩綱を用
意しとくんだった。
苦笑しながら後を追
うケイン。


運の悪い事に今日は
年に一度の収穫祭の
日で街には人が溢れ
賑わいを見せている


ケインは、ジェルマ
を警護しながら周り
に気を配っていた。


そんなケインを物陰
から射す様に見つめ
る人影があった。


『やっと…見付けた』独り言を呟き不敵に
笑う人影。

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