《MUMEI》

深紅の跳馬

2032年の最新モデルだ

手を翳すと扉が上に開く

エントリーボタンを押すと、パネルに指針が浮き出る
ドアロックを押して
パーキングブレーキを外すと、ブーンと起動音がする
アクセルに軽く足を載せると、4輪に付く、油圧モーターが作動する

日本が開発した、燃料電池が、世界を変えたんだ

ガレージを出ると、Autoライトが点灯し
メーター上に、ナイトビジョンが映し出された

ライフルを持った敵が4人見えた

俺は、わざと顔が見えるように窓を開け

ベレッタを、乱射した

タタタン、タタタン、タタタン!

一回のアクションで3連射出来る、20世紀、最高傑作の銃だ

父や、その祖父が、愛用していたのと同じ型のベレッタ…
弾は40S&W弾だ、
通常の9ミリ弾より、僅かに威力が高い

慣れれば片手でも撃てる

兼城「窓を開けるなんて無 防です!」

雅人「敵を引き付ける為だ 我慢しなって!」

敵の弾が何発か車に命中したが、屋敷からの援護射撃で、難を逃れた

雅人「屋敷を出る!」

庭を乱射しながら走りまわり、俺の顔を目撃させた後、表通りに出た

500馬力のモーターが、唸りを上げ、タイヤが悲鳴を上げたが、全輪がバランス良く駆動する為
一瞬でフル加速出来る状態に戻る

雅人「弾、入れといて…」
兼城「了解…」

雅人「追ってだ…」

リアカメラに、近づいて来る、ヘッドライトが見えた
雅人「早いな…」

兼城「敵の数がわかりませ ん、回避行動を取りなが ら基地に逃げ込みましょ う」

雅人「わかった」

車を左右に振りながら、基地に向かうハイウエーに…
全開加速に入る

メーターが跳ね上がり
体がシートに埋もれる

270キロ……

だが、敵は、真後ろに居た
兼城「…ちっ…チューニン グしてやがるな…」

雅人「来るよ!」

ドンッ!

車をぶつけてきた

2車線、横に吹っ飛んだ!
ガードレールに、軽くキスをしただけだが、
これだけの速度だ

火花が飛んだ…

姿勢を崩さず走れたのは、車の性能の良さだろう

横に並ばれた!

幅寄せしてきた

雅人「兼城、掴まれ!」

フルブレーキで躱した!

アンチロックブレーキのワーニングランプが点滅した
またアクセルを踏み、加速に移った瞬間

パシィーン!

真後ろから、狙撃され、小さなリアガラスから、フロントガラスまで、貫通された!

雅人「もう一台、居たのか !」

バーン!

タイヤを撃ち抜かれ、激しく姿勢を崩し、火花を散らしながら、急激に、速度が落ちた

ダメだ…

兼城がコンソールのボタンを押した

兼城「後輪の駆動をフリー にしました、しばらく走 れます」
「有利な場所まで…」

雅人「わかった…」

道を外れ、砂埃を巻き上げながら、林に突っ込んで行った

オンロード用偏平タイヤじゃ走り抜けるのは不可能に近い、…

雅人「あそこまで…持って くれ…」

ジャンクションの橋げた近くまで、なんとか走らせ
車を捨てた

兼城「ベレッタと、予備の マガジンです」

銃を受け取る

兼城が銃を懐から抜いた

コルトパイソン!

熊や、ぞう、でさえ、急所に当たれば即死する、化け物銃だ

兼城「来ましたよ…」
「こちらから、仕掛けま す」

コンクリートの柱から身を出し5連射した兼城だった

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