《MUMEI》
劣化
「……今何時?」


『ただ今、午前4時でございますよー。海行ってきたんだ。』

光時報が携帯から流れる。


「……海いいね。」


『行きたいな、免許取ったら連れてって。』


「うん?ホームシック?」


『国雄の体温が恋しくなってきた。』

甘えたい年頃なのか。


「浮気したら罰するからな。」

釘を刺しとく。


『昨日、720円の珈琲奢って貰ったよ。ワゴン車で海まであっという間に着いてね、涼しい風に乗って潮の香りがした。』


「……妬かせたいのか?」

俺の車に乗りたがってるくせに。


『珈琲美味しかった。』


「720円でひょいひょい着いてくのかよ……」

刺々しくなってしまう。
寝起き最悪だ。


『そ、尻軽なの。優しくされたら誰にでも簡単に売っちゃうかも?』

頭に血が上る……怒らせたいのか。
落ち着かなければ、……流されてはいけない。


「俺じゃ物足りない?何が不満なんだ、欲望さえ満たされればいいってなら野良犬とファックすれば?」

嗚呼クソ、自制がきかなかった。


『……それはまだ試したこと無い。』

……殴りたい、というか電話で殴りたい。光の挑発癖は中々治らない……


「頭痛い。」

自己嫌悪も手伝って、頭痛の種が育つ。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫