《MUMEI》

「ぁ‥悪ぃ、アタシちょっと髪直してくっから先行っててくれっか?」

「待っていなくていいのかい?」

訊いたら、

大丈夫と返事が返ってきたから──

僕は先に教室戻った。


そして‥。

彼女が手洗いに行っている最中‥

僕は

ある衝動に駆られていた。

「‥‥‥‥‥‥‥」

机の上には

ノートが置き去りになっている。

珠季が

何かを書き溜めているノートが。

何故

無防備にも

こんな所に置き去りにされているんだろう‥。

‥それよりもだ。

一体──

このノートには何が綴られているんだろうか‥。

‥気になる‥。

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