《MUMEI》 内緒話「ふ〜ん、…ちょっと見せて」 事情を聞いた頼は、坂井が書いた台本のチェックを始めた。 そして 「ちょっとこっち来て」 そう言って 何故か、坂井を連れていってしまった。 (なんなんだ?) わけがわからなかった俺だが、頼に『ついて来ないでね』と言われ、その場に残っていた。 五分後 「祐也、女役やらなくていいって」 戻ってきた頼が、笑顔で俺に告げた。 「本当に、女役やらなくていいのか?」 俺が坂井に確認すると、坂井も頼と同じように笑顔で頷いた。 「で、台本はこれに決まったから」 頼が俺に手渡した坂井の下書きには 『赤ずきんと三匹の狼』 というタイトルが付いていた。 「すみません、部長。新しい主人公役の女の子をイメージした内容に書き変えたいから、一度返してもらえますか?」 「あ、うん」 そして、これ以降 坂井は俺ではなく、相田先生や 何故か、頼と打ち合わせをして、台本を完成させた。 二月 手渡された台本には、配役が載っていたが 何故か、主役は『まだ秘密』と書かれていた。 ちなみに、俺は『三番目の狼』で頼は『一番目の狼』だった 前へ |次へ |
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