《MUMEI》

目が覚め時は
軍、施設内の病院のベットの上だった

首の横を7針縫ったらしい
血管も切れていて、繋いだと聞かされた

龍之介「雅人様、あまり無 茶をなさらないで下さい 」

雅人「屋敷の皆は無事?」 「兼城さんは?」

龍之介「大丈夫です、何も 心配ありません」
「兼城も、大丈夫でしょ う」

雅人「そうか…」

よかった…

雅人「?どうした…」

龍之介「いえ…口癖と言う か……雅治様に、そっく りでしたので…」

雅人「…」

龍之介が、嬉しそうな…
…寂しいような…
そんな顔をして、俺を見てた

親父か……何も、思い出が無いな…
…俺が、産まれる前に、
死んじまったんだよな…




2週間後

旅立ちの時が来た

雅人「兼城さん、早く、傷 治してね」

兼城「雅人様……ご一緒出 来ないのが悔しいです」

雅人「な、泣くなよ、大人 でしょ」

兼城「…自分が、ふがいな くて…」

龍之介「無事、雅人様を守 ったではないか」

ティファ「助けられたの間 違いじゃない?」

あの時の女が部屋に来た

龍之介「雅人様と日本に同 行する、ティファ、です 」

雅人「ティファ、…日本語 、上手だね」

ブロンドの髪
青い瞳

この姿から、悠長な日本語は似合わないな…

ティファ「よろしくね、坊 や」

皮肉たっぷりの笑顔で握手を求めて来た

雅人「……よろしく、おば さん」

ティファの手を握った

ティファ「お、おばさん? !」
「…失礼なガキね!…ま だ26よ!」

龍之介「ティファの負けだ な」

龍之介が笑った

兼城「ティファ、雅人様に 対して、その口の聞き方 は許されんぞ!」

ティファ「腹に穴開いた奴 は、おとなしくベットで 寝てなさい」

兼城「んだと、ティファ! …っつ…」

雅人「無理しないで、兼城 さん」

体を起こす事も辛いんだろう…
肺と腎臓を、撃ち抜かれたんだから…

雅人「時間だ、行ってくる 」

兼城「ティファ、頼んだぞ !」

ティファ「うるさい、大丈 夫よ」

龍之介「飛行機の中で、資 料に目を通して下さい」
「…雅人様が知る、日本 では、ありません…」

雅人「…うん…わかった… 」

龍之介「行ってらっしゃい ませ、雅人様…」

雅人「うん、」

再び、大好きな、この、アメリカに…
…戻って来る事が出来るんだろうか…



見送りは断った…

不安な顔を見せたくなかったから…

この病室を出たら…

頼れるのは、自分だけだ…
日本……

21世紀になって、核を撃ち込まれた国…

俺の祖国でもあり、

父と母が眠る国だ……

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