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《MUMEI》 私「弓月ぃ〜! もう聞いてよ!」 そう言って苦々しい顔をしているのは井沢 初音。 私の数少ない親友だ。手には何やら紙切れを握っている。 「初音、声大きいって」と言う私の名前は七瀬 弓月。 「やばい点数取っちゃった……! 今日絶対親に怒られるよ〜」 初音はそう言って、手に持っていた紙切れを広げた。 数学のテスト。しかも、先ほどの授業で返されたものだ。 見たところ、やたらバツ印が多いことはすぐに分かる。 三十二点。 声に出さず、心の中で点数を読む。 「……き、気にすることないって。また次に挽回すればいいじゃん!」 らしくない、暗い表情をした初音を、私は明るく励ます。 「弓月は何点だったの」 初音は間髪を入れずに言った。 「え? 何が?」 「数学のテストの点数! またどうせ良かったんでしょ?」 初音は皮肉っぽく訊いてくる。 「……九十四点」 「ほらやっぱり! いいなあ〜。弓月は常にテストで良い点数取れて」 初音はあまり勉強は得意なほうではない。 でも私は密かに彼女に憧れていたりする。 スラリとしたモデル並みのスタイル。 サラサラのロングヘアー。 切れ長で奥二重の涼しげな目元。 容姿は実年齢よりも大人びて見えるのに、愛想良くて明るい性格。 当然、男子からもよく告白される。本人は恋愛は興味がない、と言って全員断っているが。 勿体無い。 それに比べて地味な私。 目は一重。 視力が悪いので常に眼鏡を着用。 中肉中背。 唯一の取り柄と言われれば、真面目なところ、かな。 前へ |
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