《MUMEI》

「あら、間違っちゃってた?」

「ぃ‥ぃぇ──」

「──お前、意外と照れやすいのな」

「!?」

「あはっ、日下部真っ赤っ赤〜♪」

「こらこら、日下部君が困っているだろう?」





苦笑しながら、

零さんが言った。





「さぁ、そろそろ出発だよ──忘れ物は無いかい?」

「うん♪ 全部持ってるよ?」

「──ぁ!」

「蘭?」

「すいませんっ、私ちょっと忘れ物‥っ」





ヤバいヤバいっ‥

一番忘れたらヤバいの忘れて来たしッ‥。





──ってかこの別荘広過ぎじゃん‥。






「はーっ‥」





部屋行くだけで一苦労‥。

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