《MUMEI》 ‥もうすぐ授業が終わるな──。 僕の計算が間違っていなければ‥ 珠季は 僕より5周多く走っている。 ‥しかもだ。 まったくペースが落ちていない‥。 疲れていないんだろうか‥? 僕は既に‥ かなり息が上がってきているぞ‥? 「意地張ってブッ倒れんなよー?」 「ぅ‥煩いっ、誰が意地なんか──‥というか君こそ──」 「アタシはまだまだ行けるぜー?」 余裕の表情。 彼女は かなり遠くにいる──。 ここからじゃ 表情は分からない。 けれど 声音で大体分かる。 「前とは‥比べ物にならないな──」 「ぁー? 何か言ったかー?」 「ぃゃ、何も‥」 今回ばかりは 勝目は無いか‥。 「‥?」 珠季── どうしたんだ‥? 前へ |次へ |
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