《MUMEI》

「めちゃくちゃにしてやりた……」

そうか、されたいのか。
投げやりになるようなことが起きた。
光から俺へのサインだ。


『……して。』

泣きたいのだろうか。
声でも分かるが、嫌な色気だしているのだろう、他の奴らが光のそれに気付か無ければいい。


「……してやろうか。想像力だ、俺の体を思い浮かべな。俺は光を?」

受話器の向こうの表情を読み取ろうと想像力を膨らませる。


『殴り付ける、口の中が切れて血の味がした。』

負の思考が憑いて回る。


「俺は光に許しを乞う、キスをしたら許してくれると言った。」


『国雄は俺の口の中を支配する。噛み付いたまま息も出来ないキス。』


「蕩かすような、血が甘くなる舌の絡み合い。俺は囁いてやる。」


『コロス?』

――――――馬鹿……!
怒鳴りそうになる。
光を殺すなんて、考える馬鹿いない。


「愛してるって言いなさい?」


『あ……』


「あ?」


『甘い言葉で囁いて、ほだされる。』


「光を唯一愛せる俺だからな。」


『……そう。』

よし、光は良い子だ。

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