《MUMEI》

嬉しかったな──。

彼女は

僕を心配してくれて──

ずっと

側に付いていてくれたんだ。

今日は

僕が彼女を見舞っている訳だけど‥。

珠季──

大丈夫だろうか‥。

「───────」

手を伸ばして‥

珠季の頬に掛かった髪をそうっと払う。

彼女の寝顔を見て

僕は少し安心した。

表情が

少し和らいでいる。

呼吸も

幾らか穏やかになってきているな‥。

後は‥

目が覚めるまで待つか‥。

「──ル‥」

「っ?」

何か言ったか‥?

「──シズ‥ル‥」

縋るような

声。

「‥シズル‥‥‥」

「此処にいるよ」

僕は答えて

彼女の手を握ってやった。

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