《MUMEI》

御守り、

なんて呼べるような物じゃない。





なのに日向は、

すっごく喜んでる。





「那加」

「な‥何よ」

「──ありがとう」





──笑顔。





嬉しそうな、

笑顔。





あたしは、

この為に作ったんだ。





この、

日向みたいにあったかな笑顔が見たくて。





「‥なくさないでよ?」

「──ぁぁ」





日向は大事そうに、

御守をポケットにしまった。





「指──針刺したんだな‥」

「──ぇ」

「これ作る為に、那加──」

「ばっ‥ばか言わないでよ、あたしは‥」

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