《MUMEI》

ママ……?


「……気付きましたか。」

手を握っていた人の声は男で、間違えたことが恥ずかしくなる。
外人だが、俺の言葉に合わせてくれていた。
モモの性別を間違えたことは今思えば仕方の無いことだが。


「まだ動いてはいけません、傷に障ります。君は事故に遭って、森で衰弱しているところを助けられたんです。」

よく覚えてない、何か話したかったが言葉が出ない。


「声が出ないんですか?……そうですね、今は食事でも如何ですか?桃は好きですか?冷やしてるので調度いいはずですよ。」

俺は声と記憶を同時に失っていた。
そのうちに、声だけは回復するのだが……。

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