《MUMEI》 僕が止めようとした時にはもう、 芙原さんは‥ スケッチブックのページをパラパラと捲ってしまっていた。 そして、 固まった。 「‥んだこれ‥」 ビックリするのは仕方ない。 だって、 僕のスケッチブックには── 芙原さんのデッサンばかりが描かれてあるんだから‥。 机で頬杖を突いている時。 ボールを弾ませて、 夢中になっている時。 色んな場面を、 僕は芙原さんには秘密でデッサンしてきた。 今描いているこの絵だって、 さっき僕は蓮って言ったけど── ほんとは、 君のイメージなんだよ。 前へ |次へ |
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