《MUMEI》

彼女が飲む物と言えば──

これしか無い。

「──珠季、お待‥」

「待ってねーッ」

「!?」

枕か‥?

「ず‥随分と物騒な真似だな‥」

「てめーが勝手に行くからだろっ、つーかアタシ独り置き去りにしてノコノコ‥」

「──ほら」

「!? バッ‥投げんな危ねーだろっ」

「ちゃんと君が受け取り易いように計算して投げたんだけどな」

「そーゆー問題じゃねぇッ」

「何だ、元気いいじゃないか──心配して損したな」

「うっせーっ、アタシは心配しろなんて頼んだ覚えはねぇっ」

「頼まれなくてもするものだろう? 大切な人なら尚更──」

「!!」

「それでも飲んで落ち着くといい。もしまだ何か言いたい事があるなら──完全に回復してからにした方が無難だと思うよ」

「‥‥‥仕事は」

「?」

「日直の仕事」

「僕がやるさ。何──そんなに大変じゃないしね」

「‥待てよ」

「何だい?」

「もうちょっといろよ、ここに」

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