《MUMEI》

「僕に言っているのかい?」

「‥ここにいんのアタシとオマエだけじゃねーか」

「そうだね──」

「だったら、アタシが話してんのはオマエに決まってんだろ‥?」

「──ぁぁ」

「ぁ"ー‥何ッか頭痛くなってきた‥」

片手で頭を押さえながら

珠季が呟いた。

「‥オマエ、ほんっと何つーか‥」

「馬鹿で結構」

「なッ‥」

「飲まないのかい? 」

「ぁ―ッ‥待てよ今飲むから‥」

鬱陶しそうに

珠季は言った。

それから

ストローを紙パックから外しながら──

「‥自分の分あんのか」

そう訊いてきた。

僕が自分の分を掲げて見せると──

彼女は安心して

コーヒー牛乳を飲み始めた。

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