《MUMEI》 先生が戻って来たのは── 僕らがコーヒー牛乳を飲み終えて間も無くの事だった。 「目が覚めたのね──霖堂さん、安心したわ──元気そうじゃない」 「‥ハイ、まぁ一応──」 さっきまでのやり取りを悟られないようにと あくまで 何事も無かったかのように振る舞う珠季。 「──じゃ、アタシそろそろ‥」 「今日は早退したら?」 「ハイ‥?」 「まだ微熱は下がってないし──無理をしてまた今日みたいな事になったら嫌じゃない?」 「‥‥‥‥‥‥‥」 「ご両親はどちらかいらっしゃる?」 「いんや、どっちも‥」 「そう‥困ったわね──‥」 「──僕が送って行きます」 「静瑠っ!?」 「ここでは『静瑠様』と呼んでくれ」 「は!?」 「じゃあ綾瀬君──お願いするわね」 「任せて下さい」 「ちょッ‥おまっ‥」 「今君の鞄を持って来るよ。少し待っていてくれ」 「自分で帰れるっつのっ」 「悪いけど──その言い分は聞けないな」 「はぁ!? てめー‥いー加減にしねーと‥」 「彼女だろう?」 「!‥」 「君は彼女で、僕の大切な人だ。だから君を独りで帰らせる訳には行かない」 「‥わあったよ‥‥‥今日だけだかんな」 前へ |次へ |
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