《MUMEI》

「‥お前、いっつもこんな時間まで描いてんのか」

「ううん──今日は少し長く描いてるけど──いつもは6時位には帰るんだ」

「ふーん‥」





それとなく相槌を打って、

芙原さんは美術室の中をグルグル回り始めた。





「君は帰らないの?」

「‥帰るけど」





何だか、

挙動不審な芙原さん。





どうしちゃったんだろう‥?





「ぁ、ねぇ芙原さん──」

「‥ん」

「先輩には──ちゃんと──」

「‥何でお前がそんな事訊いてくんだよ。関係ねーだろ」

「‥‥‥‥‥‥‥」





ただ僕は‥

心配なんだ。





君が辛そうにしているから──‥。

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