《MUMEI》

考えてみたら‥

彼女をおぶるなんて

久し振りだな──。

にしても‥。

何故珠季は──

おぶわれる事を嫌がるんだろう‥?

──恥ずかしいのか‥?

「‥なぁ」

「何だい?」

「マジで家までおぶってくのか‥?」

「勿論。君を家まで送る為に、わざわざ学校を抜け出したんだからね──」

「‥わざわざって‥自分で『僕に任せて下さい』とか言っといて‥」

「なら訂正しよう──『君の為に学校を抜け出した』──これでいいかい?」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「ん‥?」

「良‥く‥ねーッ!!」

‥耳が鳴る程の大音量。

しかも

耳元で叫ばれたのだから堪らない‥。

「き‥君は僕の鼓膜を破りたいのか‥?」

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