《MUMEI》

すると若い組員に両脇を抱えられ、白いシャツの男が兼松の前に引き連れて来られた。



『――――――……!!!』



兼松はその男の顔を一目見るなり驚愕した。



痣だらけの腫れ上がった顔の男は、塞がりかけた瞼を開き、兼松をじっと見つめた。



それは半年前、兼松の顔を整形した潜りの外科医、男鹿だった…。




『男鹿ょ…コイツは実松に間違い無いか…?』



藤城は白シャツの男に問うた。



『はい…間違いありません…。』



男鹿は、あっさりと証言した。



そして自らが地獄から解放される喜びに、小さく笑った…。

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