《MUMEI》

「血が、出てます!」

どうしよう、止血?
止血?


「出てるね。」

先生は血の付いた自身の掌を見つめている。
とにかく、血を止めたくて先生の頭を両腕で抑えて胸で圧迫した。


「……止まりましたか?」


「……」


「あ、ごめんなさい苦しかったですか?」

すぐに先生から離れた。


「こっちこそ、ごめんな。」

授業は要点を簡潔に板書する真面目な先生なのに、意外な一面だ。








――――少し七生に似ている。





……………は。


「わーーーーーーっ!」

なんで七生出てくるんだ!


「どうした木下!」


「嫌なこと思い出しただけです!」

思わず座り込んでしまった。

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