《MUMEI》

それで、

病室を抜け出した。





道路を歩いて、

人とすれ違って‥。





知らない内に、

迷子になってた。





歩いても歩いても、

分からない道ばっかりで。





寂しくて、

恐くて‥

泣きそうだった。





ていうか、

泣いてた。





路地の角に隠れて、

日向を待ってた。





何回も、

名前を呼んだ。





日向の名前を。





空は‥

どんどん暗くなって、

もう、

どうしたらいいのか分かんなかった。





──そんな時。





日向が、

あたしを見つけてくれた。

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