《MUMEI》

晩ご飯の支度をしてる時も、

蘭はまだどぎまぎしてるみたいだった。





「蘭」

「ぇ、何‥?」

「ごめんね?」

「何で?」

「夕方──いきなりしちゃって──」

「ううんっ、全然! ていうかむしろ‥」

「むしろ?」

「嬉しいっていうか──」

「また‥してもいい?」

「ぇっ‥」

「冗談冗談♪」

「──────‥」

「でも、行ってらっしゃいのキスは絶対だからね?」

「ぅ、う‥ん‥」

「やっぱり今しちゃおっかな──」

「ぇえッ!?」

「そんな声出したらお兄ちゃん来ちゃうよ?」

「ぅ‥」

「じゃあ頂きま〜す♪」





今だけ──

君は、

僕のお姫様。





あの日からずっと、

僕の気持ちは変わらない。





蘭──

大好きだよ──。

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