《MUMEI》 「先輩……。」 「おおー、安西どうしたー」 「こっちの台詞ですよ、いきなり避けるような態度で。」 さっきは安西に悪いことしたな。 「先生と用があってさ、ほら、前のコンクールに出した映像をまとめてもらったんだ。キャンプのもおまけしてくれたんだよ。」 「ああ、先輩達に仕掛けた寝起きドッキリですね」 …………そんなことしてたんかい。 「すっかり受験モードだよな。」 毎日勉強だと流石に苦痛だ。 「先輩は大学ですよね。」 「そー!安西は来年どうするの?」 自分の話はしたくない。 「就職かもしれません。弟のこともあるし。」 「そっか……」 安西は長男だから色々あるのだろう。 「本当なら大学もいいなとか思ってましたよ、先輩と同じとこ受けてまた先輩って言いたいですね。」 「落ちたら同期か、下手したら後輩かも。」 マイナス思考が止まらない。 「いいですねそれも。」 「なんだ、安西たらそんなに俺と離れるのが寂しいのか?」 揶ってみたりして。 「はい。」 素直に返された。 安西が後輩で、俺を好いていることを再認識させられた。 我に返る瞬間だ。 「〜〜〜〜〜〜ッ、恥ずかしい!」 指して指摘してしまうくらいに。 「俺がですか?」 「俺もだ……最近調子狂ってるから?」 「最近ですか?」 「いつもイカレてるみたいに言うな!」 傷付いた! 「先輩って危なっかしいから、構い倒したくなるんですよね。俺のこと少しでも気に止めてくれるなら、傍に置いて下さい。」 「献身的だな。」 「尽くすタイプなんで。」 そんなかんじする。 前へ |次へ |
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