《MUMEI》

「‥色なんか想像して何が楽しいんだよ」

「だって、オレンジ色の夕焼けを見たら──明日は青空を見られる、とか──雨降りの灰色の空を見たら、7色の虹が見られるかも、とか──」

「‥‥‥‥‥‥‥」





ぼんやりと、

夕空を見上げる芙原さん。





「‥あたし」

「ぇ?」

「嫌いなんだよな、この名前」

「どうして?」

「‥ぇ」

「芙原さんの名前、凄くいいと思うよ」

「‥どこがいいんだよ、緋色ってどんな色か分かってんのか?」

「うん。スカーレットでしょ?」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「芙原さんにピッタリな色だと思うよ」

「‥意味分かんねー」

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