《MUMEI》

結局‥

上手い口実を思い付かなかった。

取り敢えず‥

避難してきたはいいけど‥。

「珠季──」

「ぅわッ‥‥‥バッ‥おま‥ビビらせんじやねーよ」

「済まない‥驚かせるつもりは──」

「屋上にいたんじゃなかったのかよ」

「それがね──」

事の一部始終を話すと

珠季は

「ふーん」

特に驚いた様子もなく言った。

「んで──全部読んだのか‥?」

「まだ半分位──」

「笑ってねーだろな‥?」

「ん、ぁぁ‥」

「ほんとか‥‥‥?」

珠季が

ズイッと見を乗り出してきた。

突然の事で‥

僕はどぎまぎしてしまった。

「ほ‥本当だ」

彼女は‥

この距離がどれだけ近いか分かっているのか‥?

分かって‥

いないみたいだな‥。

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