《MUMEI》

「果物なら、お召し上がりになれますよね?」

「日向の誕生日ケーキの苺なんだから日向が食べてよ」





でも、

日向はフォークに刺した苺をあたしに差し出してきた。





「どうぞ、姫サマ」

「〜〜〜〜〜〜‥」





自分の誕生日ケーキの苺なのに。





何であたしに分けてくれようとするんだろ。





「───────」





──甘い。





──酸っぱい。





──幸せ。





「如何ですか?」

「──うん」





──美味しい。





苺って──

こんなに美味しかったっけ。





日向が食べさせてくれたから‥

かな──。

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