《MUMEI》 見上げてた夕空から目を逸して、 芙原さんは溜め息をついた。 「‥緋色なんか嫌いだ」 「そうかな──、僕は好きだよ」 「‥なッ」 「綺麗で、力強くて──元気をくれる色」 「‥バカくせぇ」 「ほんとだよ? だから僕──あの蓮の絵を描いたんだから」 「‥あの絵──何かに出すのか」 「うん──。君が嫌なら止めるよ‥?」 「‥あたしは絵はからっきしだから何も言うつもりはねぇ。‥けど」 「けど‥?」 「どうせ出すなら‥優勝狙えよな」 「ぇ」 「あたしも‥試合で優勝出来るように頑張るから」 「───────」 芙原さん──。 「‥何か言えよ一言位」 「ありがとう──」 前へ |次へ |
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