《MUMEI》

──珠季のノートに綴られていたのは

僕らだけが知る

秘密の物語。

また──

珠季はノートを貸してくれるだろうか──。

「──おい、先公来たぞ」

「ぁぁ‥」

「何だよ、教科書忘れたのか‥?」

「ぃゃ、違うよ──教科書は忘れていない」

「んじゃあ‥どーしたんだよ」

「また──貸してくれるかい?」

「‥ぇ」

「また読ませて貰えたら嬉しいんだけど」

「‥マジで言ってんのかよ」

「ぁぁ。マジで言っているんだけど?」

「──ふはっ」

「ん‥?」

「ははっ、似合わねー」

「しッ‥失礼だなっ‥」

何だか‥

前にもこんなやり取りをしたような気がするけど‥。

そんなに変か‥?

僕がそういう言葉を使うのは──‥。

まぁいいか──

彼女が笑ってくれた事だし。

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