《MUMEI》
8章 ダイスキ
──最近、

だんだん夏が近付いてきてるような気がする。





夏っていうか‥

梅雨‥?





「──────‥」





──桜‥

終わっちゃったな‥。





「那加」

「‥?」

「外──出てみるか? ちょっとだけ──」

「今から?」





今、

夜10時半。





前にも何回か、

夜に病院を出た事あるけど‥。





日向から誘ってくるなんて、

珍しい。





「日向、疲れてるんじゃないの?」

「全然」





笑って、

日向はあたしの手を引っ張る。





「夜の散歩も、たまにはいいだろ?」

「──日向が行きたいなら、いいけど──」





夜に外出るなんて、

久し振りだな‥。

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