《MUMEI》

「な‥‥‥」

突き放されてしまった‥。

珠季──‥。

君のせいで‥

ますます憂鬱になったじゃないか‥。

「綾瀬君──」

「ぁ‥麻木‥」

「気にしないでね? 珠季は──綾瀬君を元気にさせてあげたかっただけで‥」

「ぁぁ、分かってるよ──」

彼女は

僕の憂鬱を晴らそうとして──

わざと強く当たったんだ。

「呼んで‥来ようか? 珠季の事──」

「いや、直に戻って来るさ」

──まだ‥

雨は止まないな‥。

「──おいっ」

「ん‥、──!?」

何だ‥?

「コーヒー‥か‥?」

「──ブラックな」

「何故ブラックなんだ‥?」

「いーから飲め」

「‥‥‥‥‥‥‥」

彼女は‥

僕がブラックでもコーヒーを飲める事を知らない筈だ。

だけど‥

偶然にしては何だか‥。

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