《MUMEI》

──扉を開けると、

そこはまるで別世界。





そこに、

先輩は佇んでいる。





フェンスに凭れて、

空を見上げて。





私は、

緊張しながら‥

一歩一歩、

近付く。





「──先輩」

「‥ん」





振り向いた、

服部先輩。





「ぁ、どーした‥?」

「──もう一度‥今度は口で言わせて下さい。──私‥」





‥言わなきゃ。





「私‥っ、先輩の事が好きですっ」

「───────」

「ずっと‥初めて先輩を見た時から、想ってました‥。なのに‥どう伝えたらいいのか分からなくて悩んでて‥。──だけど、蛎崎先輩や加恋に言われて、気付いたんです。やっぱり、ちゃんと伝えなきゃって‥先輩に気付いてもらわなきゃって」

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