《MUMEI》

……海は広いな


「大きいなあ。」

偶然にもリンクしてしまった。
国雄は白いワゴン車を購入した、値段は教えてくれない……。


「朝も、いいね。夜に歩いたんだ。」

太陽の光が心地よい。


「海、キモチーな!」

国雄が靴下を脱いで海に突進している。


「転ぶよ、危ない。」


「平気だって!」

無邪気に波に蹴りを入れていた。


砂が入ってくるといけないから俺も靴を脱いだ。
指の間を砂が満遍なく回る。


「魚いる?」

早朝の海は全然人気も無くて俺達だけのものみたいだ。
思い切って海に爪先を浸してみた。


「うーん……。」

国雄が水面に顔を近付けている。
大きな背中がいつもよりコンパクトに収まっていた。
無駄の無い筋肉質な背中はジャージの上でもよく分かる。


ウズウズしてきた……。

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