《MUMEI》 「──止まないか‥」 4限が終わっても雨は止まず── 「──ここらへんでいっか」 「そうだね──」 僕らは 屋上の屋根の下にいた。 屋根といっても‥ 体育座りをして何とか 辛うじて濡れずに済む‥ という感じなんだけどね。 「──シズル」 「ん‥?」 「‥いんや、別に‥‥‥」 「───────」 雨が降る音と 雫が屋根から落ちる音。 それ以外は 何も聞こえない。 「‥‥‥‥‥‥‥」 いや‥ 違う。 もう2つ‥ 聞こえる。 ──鼓動。 僕と 彼女の鼓動。 「──早く夏こねーかな‥」 「夏‥?」 前へ |次へ |
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