《MUMEI》

僕はぬるくなったココアを一口飲む。


「今、大学通ってるんです。将来、医者になりたくて。」

「そう。お医者さんかぁ。君なら良い医者になれるさ、頑張って!」

「ありがとうございます。両親に負担掛けちゃてますけど、二人共喜んでくれてますし。
絶対なります!!」


僕は気合いを込めて決意表明した。


「うん、うん!」


園長先生は嬉しそうに頷いてくれた。
そして立ち上がると、こう言った。


「さぁ、今日はクリスマスだ、君もパーティーに参加してくれないか!?」


「え?いいんですか?」


「勿論だとも!
君にこの後予定がなければだが。」


「ないです!是非参加させて下さい!」


僕は残っていたココアを飲み干して、早く行きましょうという合図を送る。


早く会いたかったんだ。


ずっと恋い焦がれた美奈子先生に…。


「よし!そうと決まれば急ぐとしようか。
子供達、喜ぶぞぉ!
なんてったって、今日はクリスマスパーティーに加え、誕生日パーティーが出来るんだから!」

「え?」


「ふふ。まさか、わしが君の誕生日を忘れていると思ったかい?」


「覚えててくれたんですか。」


「当り前じゃないか。
誕生日おめでとう、貴士君!」

「あ、ありがとうございます。」


ちょっと照れくさい。



「さぁ、行こう!」




僕と園長先生は、多目的室に向かった。

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