《MUMEI》

今となっては遅過ぎるが、ようやく疑念が確信に変わった。



兼松はブルブルと震えながら、藤城と猪俣(桜庭)を見つめていた。




その時…。



『兼松様…


…手札を拾って下さい…。』



〆華は、穏やかな口調で兼松に語りかけた。



兼松は恐怖に引き攣った表情で、芸妓の目を見つめた…。



しかし、その目には口調のような優しさなどは込められておらず…



ただ冷ややかに続行を促す、勝負師の眼光だけが輝いていた。




兼松は自らの死期を1秒でも遅らせるには、花札遊びを続ける以外に選択肢が無いことを悟った。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫