《MUMEI》

「き‥‥‥君はどこまで僕の耳を‥」

「オマエが梅雨明けるまでこんなんじゃとんでもねーって言いてーんだよ」

「仕方無いじゃないか‥」

「仕方あんだろ」

「そんなに焦る事──」

「焦ってねーよ、イラついてんだ」

「何故だい‥?」

「だ・か・ら‥」

「分かった。──ほら、チャイムが鳴ったよ──戻ろう」

「ヘイヘイ‥」

鬱陶しそうに言って

珠季は立ち上がった。

「次‥何だったっけか」

「次は──‥科学だね」

「ゲッ‥マジかよ最悪だし‥」

「いつも大抵寝ているのにかい?」

「うっせーな──‥アタシにはムズ過ぎて分かんねー事だらけなんだよ」

「なら、夏休みは補習三昧だね──」

「は? 冗談じゃねーっつの‥」

「僕が先生役でもか?」

「何でオマエが先公役なんだよ」

「何となくね」

「──‥もーいーや‥」

溜め息をついて

珠季は階段を降りて行った。

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