《MUMEI》 「──シズル」 「‥?」 「──濡れてんぞ、肩」 「大丈夫だよ、──言っただろう? 『濡れた位で風邪は引かないから』って」 「そーだけど‥何か気になんだよ」 「優しいんだね──」 「バッ‥違ぇよッ」 「ぃゃ──君は優しいよ」 「優しくねーッ」 「ほら、濡れるよ」 「!?」 「ぇ」 「いきなり抱き寄せんなバカッ」 「君が濡れると悪いと思ってしただけじゃないか」 「余計な世話だっつのっ‥」 素っ気無く言った珠季。 それから‥ わざと僕の方を見ないようにしていた。 けど‥ そのせいで 彼女は躓いてしまった。 前へ |次へ |
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